現在の成年後見制度が2000年4月1日に導入され18年が経過しようとしております。成年後見人には行政書士、司法書士、弁護士、社会福祉士と様々な専門家が就任しております。後見制度の利用件数は右肩上がりに増加しており、10年前の平成20年は利用件数が10万件だったのが、現在では21万件を超えているようです。
成年後見制度の利用率は多い?少ない?
成年後見制度を利用なさっている21万件という件数ですが、これは多いのでしょうか、少ないのでしょうか。私は少ないという見解です。なぜなら現在認知症の方は日本全国で550万人に達しており、平成33年には600万人を超えると内閣府が公表しております。認知症の方の数に対し後見制度の利用者の数は圧倒的に少ないのが現状です。
成年後見制度の利用が少ない理由?
成年後見制度の利用件数が少ない主な理由としては、成年後見制度に対する理解が国民に十分に浸透していない事と、一部の専門家による不祥事が挙げられるかと思います。そのため昨今では専門家の後見人の不祥事の対策として家庭裁判所は司法書士法人など、法人を後見人に選任する件数が増加しているようです。
なぜ家庭裁判所は法人を専任するのか?
家庭裁判所が専門家の不祥事の対策としてなぜ法人を選任するかと申しますと、法人は組織で成り立っております。司法書士法人では、必ず2人以上の司法書士が社員として必要となります。司法書士法人は万が一他者に対し損害を与えてしまった場合は連帯して責任を負う事となっており、個人で受任している専門家よりも被害者に対する賠償の資力がはるかに高いのです。また連帯して責任を負う関係で社員同士が職務状況について定期的に確認を行っており、個人で受任している専門家より不祥事を防ぐ体制が堅固なものとなっているのです。さらには社員の意見交換・情報交換により実務の能力の向上も図られております。また仮に社員が病気や怪我などで入院してしまった場合は、個人の専門家では業務が完全に停止してしまいますが、司法書士法人後見では他の社員が業務を遂行する事ができるからです。